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2024.6.5
「Free to Fly」 DCCA-131~133
2024.1.9
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2022.6.15
「OVERRUN」 DCCA-1088~1089
2020.6.17
「Collapsed Land」 DCCA-1030
MOVIE

INTERVIEW


AKi Special interview【後編】
自分に挑戦したい
直談判したんです。“力を貸してください”って
これまでに行ったことのない領域に踏み込む
そこから自分が何をシドに還元できるのか


AKi、ソロ活動への想いを語る

──確認めいた聞き方になりますけど、この『ARISE』というアルバムはいつ頃から作り始めていたんですか?

「シドの『OUTSIDER』のツアーが終わった直後からですね。ちょっと時間もあったんで、すぐにデモ・テープを作りだして。」

──その時点でアルバムの完成予想図、青写真みたいなものは描けていたんですか?

「いや、もう全然。とにかく出てくるものをカタチにするっていう作業でした。こういうのがやりたい、というのがありつつも、実際やってみて出てくるものってまた違うじゃないですか。結果、このアルバムには全11曲入ってますけど、実は全部で15~16曲作ってるんですよ。自分でやりたいと思って自分で作ったものでも、“これはちょっと駄目だな”っていうのもやっぱりあったし、形を整えていく必要のある曲もあった。そうやって絞り込まれた11曲なんです」

──そうやって“自分の音楽”というのを意のままに作ってみたとき、シドでの明希さんが作ってきたものとの違いを実感させられた部分というのは何かありましたか?

「うーん。俺としては、どっちもごく自然だったりするんですよ。ただ、イメージが違うというのは当然あるじゃないですか。シドってものを想像して作ってるか否か、という違いはあると思う。だけど何かを切り替えるような感覚ではなかったし、どっちも俺なんですよね。だからあんまり違和感もなかったし。言ってみれば、同じ人が違う脳細胞を使って曲を作ってる感じというか。なんか、うまく言えないんだけど、どっちも自分の気持ちに忠実に作ってるんです。確かにバンドとソロは意味合い的には別のものだけど、どっちも自分から自然に出てくるものなんで。だから、アウトプットがもう一個があるって感じなのかな。ふたつめの出口があって、そっちの出口を今回は使ってみた感じです。10年使ってきたアウトプットがまずあって、そこにもうひとつ加わったというか」

──それによって自分のなかでの循環がより活発なものになっていく、ということなんでしょうね。ところで、この『ARISE』というタイトルにはどんな思いが込められているんでしょうか?

「なんか衝動だったり、物事を起こすような、この言葉自体にそういう意味合いがあるんですけど、まさにその通りのアルバムだと思っていて。自分の思ったことを自分で起こす。起動する、というか。そういう意味合いが伝わればいいかな、と」

──作曲はともかく、作詞まですべて自分で手掛けるというのは大変だったんじゃないですか? 一度にこんなにたくさんの歌詞を書いたこと、過去にはなかったはずですよね?

「ええ。実際、歌詞はいちばん大変でしたね。あくまで曲先行なんで、曲が呼んでる言葉を書いていくイメージではあったんですけど……なんだかもう、アタマから煙が出てくる感じでした(笑)」

──演奏面ではさまざまなミュージシャンが参加していますけど、人選はどんなふうに?

「まずギターの加藤(貴之)君は、17~18歳の頃から知ってる仲で。スタジオによくメンバー募集のチラシとか貼ってあるじゃないですか。アレを通じて知り合って、一緒にやってたこともあるんです。実はシドの制作とか俺のデモ作りとかを手伝ってくれてたりもして。だから、いつか一緒に何かやりたいなと思っていたんです。ドラムはToshi Nagaiさんと宮上元克さん。お2人とも元々知ってはいたんですけど、俺、このアルバムを作るにあたって、友達同士で和気あいあいとやるというよりは、自分に挑戦したいというのがあって。自分ってものは、目上の人たちにどう響くのかなっていうのを試してみたくもありました。そこで、自分が素晴らしいなと思うドラマーのお2人に直接電話して、直談判したんです。“力を貸してください”って。そしたらすぐに快諾していただいて。レコーディングではめちゃくちゃ緊張しましたけど、いろいろとディスカッションをしていくなかでの会話とかもすごく勉強にもなりました」

──MUCCのミヤさんも1曲弾いていますよね?

「とある打ち上げのときにミヤさんに今回のソロのことについて話をしていたら、“いいよ。俺もやらせてよ”って言ってもらえて。その場で携帯に保存してあった曲を聴いてもらったら、すぐに乗ってきていただいて。でも皆さん、ホントにさすがだなと思いました。すごく刺激的なレコーディングでしたね」

──アルバムを完成させて、改めて気付かされたのはどんなことでしょう?

「なんか俺の場合、自分の基準というのが、ちょっと抽象的なんだけど……。自分自身、17歳とか18歳ぐらいのときに、ロックを聴いて“わあ、カッコいい! この世界に飛び込みたい!”って思ったんですよ。で、そのときの、十代の自分がこれを聴いていいと思うか思わないか。そこだけなんですよね、俺の基準って。そこがまったく変わってないことに、改めて気付かされました。シドにおいてももちろん、そこは同じで。多分このアルバム、当時の俺が聴いてカッコいいと思うはずなんです。ライブでもそうなんですよね。客席のなかに17歳のときの自分がいるはずだ、と思っていつもプレイしてるんで」

──なるほど。その高いハードルをクリアした11曲がここに詰まっているわけですね。

「ええ。シドを10年やってきていろんなことがあって、自分なりに葛藤もあって。でも、ここまで歩いてこられて、こういう機会も得られて……。そこで自分がカッコいいと思って作ったものを“カッコいいよね!”って思ってもらえれば嬉しいし、そう思ってもらえるはずだと信じてます。それによって、またこれから先に進むことができるかなって思う」

──これまでの10年がこのアルバムを作らせてくれたし、それがまた次の時代へと橋渡しをしていく、ということなんですね。そして、2月にはソロ・ライブが控えています。

「1本だけなんですけどね。ライブでは元克さんと加藤君、それから前々からすごくいいなと思っていたTHE KIDDIEの佑聖にギターを弾いてもらうことになっていて。あいつのギター、すごく好きなんです。その4人でやろうと思ってます」

──当然ながら、ステージの真ん中でベースを弾きながら歌うことになるわけですよね?

「はい。楽しみでしかないです。これまでに行ったことのない領域に踏み込むみたいな感じで、すごくワクワクしてます。まずはこのアルバムを出して、ライブをやって……そこから自分が何をシドに還元できるのかっていうのも楽しみだし。実は今、シドの曲も作ってるんです。全部が同時進行で進んでるんです。やれることは、やれるだけやりたいんで。だからこのアルバムを作り終えた今の自分のなかでは、もう次が始まってるんです。何ひとつ止まっていないんで」
(Text 増田勇一)
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