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INTERVIEW


AKi Special interview【前編】
「純粋に、自分自身の挑戦」
「今思ったことは、今やるべきだ」
「メンバーやスタッフの皆が背中を押してくれたことが素直に嬉しかったですね」


 AKi、ソロ活動への想いを語る

──まずは単刀直入に、今回のソロ始動の動機から聞かせてください。

「シドをずっとやってきて、新しい曲を作り、アルバムを作り、ライブをやるってことを通じてずっといろんなことを試してきて……。その時間の流れというのは、この先もずっとそうやって続いていくものだと思ってるんです。そのなかで、やっぱり“自分”ってものを音楽にしてみたくなったというか、もっとそれを追求してみたいなっていう願望が、ここ数年ですごく強くなってきて。で、ちょうどバンドが10周年という節目を超えて、『OUTSIDER』というアルバムを作って、そのツアーも終えて……そのタイミングでメンバーたちや事務所にも“ソロをやらせてくれないか?”という話をしてみたんです。そしたらみんな、快諾してくれて。メンバーもね、俺の音楽人としての欲求を止めるのは良くないんじゃないか、と言ってくれて。そこはもう、すごく感謝してます」

──バンドが充実した状態にあるからこその快諾だと思うんですよ。仮に不安定な状態にあったなら、そんな言葉が出てくるはずもないだろうし。

「うん。だからここでいちばん誤解して欲しくないのは、バンドに不満があるからソロをやるみたいな意味では、全然ないってことで。純粋に、自分自身の挑戦としてやってみたかった。本当にただそれだけなんです」

──いつかソロをやりたいと昔から思い続けていた、というわけではないんですね?

「そうですね。俺はこれまで、シドのメンバーたちと一緒にやることしか考えずに、そこでの景色しか想像せずに曲を作ってきたんですね。それと同時に、もっといろんな曲を作ってみたい、挑戦してみたいという欲求も生まれてきて。本当にそういう純粋な動機だけなんですよね、自分で言うのも変かもしれないけど。その気持ちをずっと抑えつけて我慢してきた、というわけじゃないんです。ただ、“今思ったことは、今やるべきだ”というのが自分のなかにあるんですね、ポリシーとして。だから今、やりたかった。それで、ツアー終了後からデモを作り始めたんです」

──特定のジャンル感を求めたかったというわけでもなさそうですよね。シドは音楽的な意味で制限のあるバンドではないし。

「うん。もちろん俺はロックが好きなんで、ロック・アルバムとしてこの『ARISE』を作りました。そこでとにかく避けたかったのは、自分のデモ・テープ集みたいなアルバムにしてしまうこと。要は世に出てない曲も多々あるわけです。そういう未発表の既存曲のなかにも、やりたいものは当然たくさんあるけれど、だけどその曲達を自分の名前で出したところで意味もないし。マオ、Shinji、ゆうやの3人を想定して作った曲を俺がやることは最初から考えていませんでした。だからツアー終了後から、このアルバムのために全部自分で書き下ろして。自分自身としてやりたいものを、最初の段階から作ったわけです。だから、常にメンバーたちの存在を想定しながら作ってきたこれまでの曲とは、発想の仕方が全然違っていて」

──なるほど。その『ARISE』の具体的な内容についてはまた改めて聞きたいと思うんですけど、AKiさん自身、ずっと音楽ファンでもあり続けてきただけに、バンドの一員がソロ活動を始めたときに周囲からどんな声が聞こえてくることになるのかについては、想像できていたはずだと思うんですよ。

「覚悟はしてました。だけどSNSで“応援します”っていう声もすごくあったのと、メンバーやスタッフの皆が背中を押してくれた事が素直に嬉しかったですね。俺自身、いち音楽ファンとして、という前提で答えると、好きなバンドの人たちのソロ活動というのにはわりと興味を持ってきたほうだし、“バンド自体はこういう世界観を持たないのに、この人がひとりでやるとこういうことになるんだ?”というのを楽しみながら聴いてきたんですよね。で、その人自身のバンドでの見え方やパワー感みたいなものが変わってきたり。そこにエネ ルギーが感じられるんですよね。そういうのを常に、いいな、と思ってきたから」

──結果、そうやって大きな収穫をバンドに持ち帰れることになるはずだし、バンド内の空気がより自由度の高いものになっていくことも期待できるはずだ、と?

「そうですね。だからこそ、まず自分がもっと自由にならなきゃなと思うし、ソロ活動で得た刺激というのが、またシドでの発想に戻って曲を作ったりしていくなかで、自分のなかのタガみたいなものが外れる切っ掛けになればいいなと思う。実際ね、これを始めてから、シドがいっそう愛おしく見えてきたというのもあるんです。これはみんなが協力してくれたからこそできてることでもあるわけなんで。まずはそこが伝わってくれれば、と思います。」
(Text 増田勇一)
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